吹奏楽

第66回九州吹奏楽コンクール(2021年8月22日in福岡サンパレス)

2021年8月22日

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事前に親類にチケットを手配してもらうことができ、

 

九州大会 午前の部を福岡サンパレスで聞くことができました。

 

 

ビデオ審査の可能性

 

まず触れておかないといけないだろうこと

 

今回沖縄県立宮古高校と長崎県立西陵高校はビデオでの出演、審査となっていました。

 

 

事前に音源が録音してあり、両校の演奏順の際にサンパレスのステージにスクリーンを出して

 

映像とともに音を流して審査する…という方式です。

 

 

両校ともに公立高校ということもあって、学校からの要請や保護者からの要請もあったのかも知れません。

 

 

こういうご時世ですので仕方がないことも理解できます。

 

 

吹奏楽連盟を見ていると、決して先進的な取り組みをする組織とは言い難いので、

 

サンパレスに来ることを断念せざるを得なかった両校に対して

 

普段であれば審査対象外としていてもおかしくないです。

 

 

それが今回のコロナ禍で試行的な形式とはなっていたものの

 

ビデオ審査という形に落とし込めていたのは大変良いことだと感じました。

 

 

惜しむらくは、ビデオ音声の音量が小さかったこと。

 

 

これは来年以降への宿題として試行錯誤を続けていただきたい点です。

 

 

出場校と演奏順について

 

わたしが毎回プログラムの情報を指揮者まで記載していること、

 

お気づきの方も多いと思いますが、

 

やはり中学生・高校生の段階では指揮者、指導者が

 

バンドに与える影響が大きいことを考慮して記載しています。

 

 

技術的な指導はもちろんですが、

 

日ごろの練習でも難しいモチベーションの維持やその引き出し方、指摘事項の伝え方、

 

コロナ禍にあっては輪をかけて学生たちのメンタル面のケアが重要だったはずです。

 

 

全国常連と言われる学校はこの辺りを指導者のみの手腕に任せず

 

ある程度 仕組化されているのだろうとも推察いたします。

 

 

審査員の皆様

 

こんなご時世なので審査員のブッキングも困難を極めたのではないかと思います。

 

その中で審査を務めてくださった先生方には感謝しかありませんね。

 

  • 阿部雅人(沖縄県立芸術大学副学長 ホルン奏者)
  • 大浦綾子(東京佼成ウインドオーケストラ クラリネット奏者)
  • 奥田昌史(元 東京交響楽団首席ティンパニ奏者)
  • 中村均一(日本大学芸術学部 サクソフォン奏者)
  • 根本直人(福島県吹奏楽連盟副会長・同県吹奏楽連盟音楽総監督)
  • 服部孝也(昭和音楽大学准教授 トランペット奏者)
  • 藤原功次郎(元 日本フィルハーモニー交響楽団 主席トロンボーン奏者)

 

 

高等学校 前半の部(2021年8月22日(日曜日)in福岡サンパレス)

 

パソコンからは表のスクロールなしで見られます。

(スマホからご覧になる場合は表は右→、下↓にスクロールしてください。)

演奏順 演奏団体 審査結果 自由曲
玉名女子高等学校 金・代表 マードックからの最後の手紙(2021版)
  指揮:米田真一 55名   作曲:樽屋雅徳

奥田学園 創成館高等学校

吹奏楽のためのエッセイⅡ
  指揮:山本史郎 31名   作曲:福島弘和
九州産業大学付属九州高等学校 「交響曲第4番」より
  指揮:小川哲平 55名   作曲:D.マスランカ
福岡県立福岡高等学校 シンフォニエッタ第2番「祈りの鐘」
  指揮:西嶋克豊 55名   作曲:福島弘和
佐賀県立佐賀北高等学校 「GR」よりシンフォニック・セレクション
  指揮:横尾聖史 55名   作曲:天野正道
大分中学校・大分高等学校 交響変奏曲
  指揮:竹内紀夫 55名   作曲:平吉毅州、編曲:遠藤正樹
沖縄県立宮古高等学校 銀(ビデオ審査) バレエ音楽「三角帽子」
  指揮:玉城菜々子 55名   作曲:M.de.ファリャ、編曲:森田一浩
宮崎県立宮崎南高等学校 バレエ音楽「中国の不思議な役人」
  指揮:中山栄治 55名   作曲:B.バルトーク、編曲:加養浩幸
長崎県立西陵高等学校 銀(ビデオ審査) 吹奏楽のための交響曲「ワインダーク・シー」より
  指揮:遠藤克子 55名   作曲:J.マッキー
10 神村学園中等部・高等部 組曲「名誉・勇気・誓約」
  指揮:久木田恵理子 55名  

作曲:S.メリロ

11 延岡学園高等学校 歌劇「トスカ」第3幕
  指揮:椛山達己 45名   作曲:G.プッチーニ、編曲:飯島俊成
12 福岡県立嘉穂高等学校・附属中学校 アパラチアの春
 

指揮:伏見宣秀

55名   作曲:A.コープランド、編曲:森田一浩
13 福岡工業大学附属城東高等学校 バレエ音楽「ダフニスとクロエ」第2組曲より
  指揮:幸喜隆 55名   作曲:M.ラヴェル、編曲:佐藤正人
14 西日本短期大学附属高等学校 「GR」よりシンフォニック・セレクション~ヴァージョン・オルタナ
  指揮:八尋清太 55名   作曲:天野正道

 

高等学校 後半の部(2021年8月22日(日曜日)in福岡サンパレス)

 

パソコンからはスライドなしで見られます。

(スマホからご覧になる場合は表は右→、下↓にスクロールしてください。)

演奏順 演奏団体 審査結果 自由曲
精華女子高等学校 金・代表 巨人の肩に乗って
  指揮:櫻内教昭 55名   作曲:P.グレイアム
沖縄県立コザ高等学校 シンフォニエッタ第3番「響きの森」
  指揮:西田都 55名   作曲:福島弘和
熊本県立熊本北高等学校 「オペラ座の怪人」ハイライト
  指揮:荒木真 55名   作曲:A.L.ウェバー、編曲:遠藤幸夫
飯塚高等学校 キリストの復活~ゲツセマネの祈り
  指揮:畑中洋介 40名   作曲:樽屋雅徳
北九州市立高等学校 吹奏楽のための協奏曲
  指揮:田中敦大 55名   作曲:高昌帥
鹿児島県立松陽高等学校 金・代表 交響詩「ローマの噴水」より
  指揮:立石純也 55名   作曲:O.レスピーギ、編曲:中村俊哉
鹿児島県立加治木高等学校 ルイ・ブルジョアの讃美歌による変奏曲
  指揮:永井哲 55名   作曲:C.T.スミス
八代白百合学園高等学校 ザ・タイグレス
  指揮:服部明子 52名   作曲:狭間美穂
大分県立大分豊府高等学校 宇宙の音楽
  指揮:中村慎之介 55名   作曲:P.スパーク
10 福岡市立福翔高等学校 交響曲第3番 作品89
  指揮:境麻綾 55名   作曲:J.バーンズ
11 佐賀学園高等学校 ハリソンの夢
  指揮:南里隆弘 55名   作曲:P.グレイアム
12 宮崎県立日向高等学校 想ひ麗し浄瑠璃姫の雫
  指揮:園田玉紀 21名   作曲:樽屋雅徳
13 長崎県立長崎東高等学校・長崎東中学校 歌劇「トゥーランドット」より
  指揮:中野文大 48名   作曲:G.プッチーニ、編曲:後藤洋
14 活水中学校・高等学校 金・代表 吹奏楽のための風景詩「陽が昇るとき」
  指揮:杉町たまみ 55名  

作曲:高昌帥

 

各校ごと個別の感想

会場で聞くことができました前半の部に関して個人的な感想を置いておきます。

 

1.玉名女子高等学校(熊本)

課題曲Ⅰは終盤でテンポ変化が求められる部分がこの曲の1つのポイントだと思うのですが、

問題なくクリアされている安定してソツの無い演奏でした。

マードックは出だしの音で持っていかれました。

「出だしの一音で審査結果は決まる」とコンクールに向けた指導などでよく言われますが、

この一音を作り上げるまでの生徒たちや関係者の皆様の乗り越えて来た苦労や思いが

見事に体現されるような音作りがなされていると感じました。

バリバリ鳴らす系の金管は女子高バンドの特徴的な音色のように感じます。

終盤の速いパッセージもタテの線がぴったりとそろっていました。

楽譜上の音符をすべて吹ききっており、一つも目的の無い音が見当たりませんでした。

朝イチのハンデもなんのその、見事全国大会出場を勝ち取りましたね!

おめでとうございます!

 

2.創成館高等学校(長崎)

課題曲Ⅰは良いレベルに仕上がっています。

強弱の変化と音色の使い分けを意識するともっと素敵に仕上がるかなと思いました。

自由曲「吹奏楽のためのエッセイⅡ」はひとつひとつのフレーズはうまく吹いているのですが、

金管と木管が合わさった際の全体の表現として冗長に感じる部分がありました。

少ない人数(31名)でよく吹いていたと思います。

大ラスTuttiでの一体感、良かったです!

 

3.九州高等学校(福岡)

課題曲Ⅳは分かりやすく整理されていて好感でした。

マスランカ4番の出だし、めっちゃ好きです。パーカッション群も上手い!

長く伸ばした音の後半で少々ピッチが目立つ部分がありましたが、

「我々は本日、九州大会代表を獲得すべくサンパレスに来ました!」っていう意気込みが

演奏全体からグイグイと伝わってきて聞いていて非常に気持ちの良い演奏でした。

曲の整備され具合も細かいところまで行き届いていましたし、自由曲の選曲もバンドにハマっていました。

惜しくも代表逃しましたが、非常に良い線行っていたのではないかと推察いたします。

来年以降も楽しみなバンドです!

 

4.福岡高等学校(福岡)

課題曲Ⅳソツがない!

指揮の西嶋先生は城南ー修猷ー福岡と異動された先々の吹奏楽部を九州・全国大会に導いて

間違いなく福岡市内の吹奏楽をけん引している指導者のおひとりですね。

(職場・一般の部で早良市民吹奏楽団も振ってますね。)

祈りの鐘はTp6本で吹いているけど「鳴り」が物足りませんでしたねぇ…。

音質のせいか吹いても吹いても音が散ってしまう罠にハマってしまっていたようです。

もちろん他のパートが良く吹いているからこそ、相対的に物足りなくなってしまうのですが。。

九州大会レベルになるとバンド全体のバランスもさらに上の大会に進むには欠かせない要素ですね。

 

5.佐賀北高等学校(佐賀)

課題曲Ⅰはメリハリが効いていて良かったです。

Tbの後打ちはもっとタテをぴったりに揃える余地があったかと。

GRの冒頭Tpソロはなかなか鬼門のようですね…

みんなきっとめちゃくちゃ練習しているから、どちらかというとメンタルセットの差だと思います。

もちろん緊張するけど、そのドキドキを楽しんで吹けるところまで突き抜けて欲しい。

会場みんながアナタの音を聞くのです。

あとは低音群の出だしが揃わない箇所があってもったいなかったです。

レベルが非常に拮抗する大会でしたので少しの粗で容赦なく減点されるからね。

欲を言えば最後のTuttiももっと鳴らして欲しかったですね。

 

6.大分中学校・大分高等学校(大分)

本日唯一の課題曲Ⅱです。なんとTbが8本!

「課題曲はマーチ演っておけば安パイ」的な雰囲気が大多数を占める中で

あえてⅡ番に挑戦する意欲は素晴らしいです。

自由曲「交響変奏曲」は解釈の難しい曲をよく中学生も含めて吹ききったなぁと感心いたしました。

力量がわかりやすく試されるシーンが多すぎて、金賞はちと厳しいかもという印象でした。

 

7.宮古高等学校(沖縄)

突如ステージ上にスクリーン幕が下り始めてざわつく会場。

事前にビデオ審査の旨、発表無かったので急な展開にオーディエンスは戸惑っていましたね(^^;)

あらかじめ録音された音源と映像で審査していました。

会場のスクリーンで鑑賞した感想は「ビデオ審査には限界があるなぁ」ということ。

どうしても生演奏には劣るので、ビデオなら全団体ビデオ審査にするとかでないと公平性を欠くことに。

実際に東海大会では全団体ビデオでの審査が行われています。

参加することに意義がある…というのであればビデオ審査でも十分と思います。

自由曲の三角帽子は久々に聞けたので楽しませていただきました。

 

8.宮崎南高等学校(宮崎)

課題曲Ⅳは堂々としたゆっくりめのテンポ。

全体的に少し冗長だったかもしれません。

技量はあるのでもっと軽快な大人のマーチを目指してもいいかもしれませんね。

自由曲は秀逸な役人を聞かせていただきました。

しっかり仕上がっていて力のあるバンドと感じました。

課題曲がネックになったかもしれませんねぇ。

 

9.西陵高等学校(長崎)

こちらもビデオ審査。

ワインダーク・シーの強奏部よかったです。弱奏部が難しい曲だよねぇ。

 

10.神村学園中等部・高等部(鹿児島)

課題曲Ⅳはめちゃくちゃ鳴らすし、本当にきれいに仕上がっていました。

メリロの自由曲はとても良い推進力で強奏も弱奏も聞かせてくれました。

久々に全国行くんじゃないかと思ったほど。

これは名演といって差し支えないかと思います。

 

11.延岡学園高等学校(宮崎)

椛山先生、酸素ボンベつけて椅子に座っての指揮。

人間はどんな状態になっても最後まで音楽と向き合うことができるってことを体現されていて、

なかなかできることではないなぁと。

格好よく生きるとはこういうことかと、椛山先生の棒を振る姿に引き付けられました。

課題曲Ⅳはとても鳴りもよくテンポキープもしっかりとされていました。

トスカ冒頭の強いホルン。

上品さではなく、強さを魅せるような仕上がりでした。

の、割に全体的に大人しく仕上げ過ぎたかも。

意外と鳴らすポイントは限られている曲だから、ここぞというタイミングではこれでもかってほど鳴らして欲しかった。

特に金管TpとHr。

トスカのラストフレーズ、課題曲くらい鳴らして欲しかった。

 

12.嘉穂高等学校・附属中学校(福岡)

課題曲Ⅳ出だしから良かったですね。

金管のラグジュアリーサウンドが弾けてる感じ。

中間の木管が歌うパートも重くなり過ぎずに仕上がっていて全国レベルの力量あるバンドだなぁと。

この段階で金は確信しました。

アパラチアでの個人の技量の高さを魅せていました。

クリアなサウンドが曲にハマっていたと思います。

フレーズが次々受け渡される細かい部分もしっかり整備されていました。

数少ないTuttiはもっと鳴らして良いかと。

自由曲より課題曲の完成度が高いなぁと感じた珍しいパターンのバンドでした。

 

13.城東高等学校(福岡)

やっぱり指揮が武田先生から幸喜先生に変わって、サウンドも変わったなぁと感じる課題曲Ⅳ。

曲の冒頭から格の違いを見せつけるようなラグジュアリーサウンドは影を潜め、親しみやすいサウンドに。

もちろん上手なのですが、マーチは少しテンポが重たく感じました。

自由曲は良いラヴェルを聞かせていただきました。

低音群はもっと鳴らしていい。

お手本CDに劣らないレベルのダフクロで素敵ですが、以前のパズルを組み合わせたような緻密さはありませんね。

最後のTutti良かったです。金賞予想でした。

 

14.西日本短期大学付属高等学校(福岡)

課題曲Ⅰはしっかりバランスが整えられていてテンポも軽快、よい仕上がりです。

GR冒頭のTpソロ、プレッシャーがすごいねぇ…(;´∀`)しかし、音色きれいでしたよ♪

前半Tpパートがコケていましたが後半にかけて尻上がりに良くなった印象。

課題曲も自由曲の後半も良かったので自由曲の前半コケてしまったのがもったいなかった。

それでも金賞を受賞されましたね。

福岡は「いつもの全国常連校」以外のバンドのレベルも底上げされていて本当に力のあるバンドが多いと感じる大会でした。

 

おわりに

今年は代表4校と例年から1校増枠したこと、

全国常連だった城東が近年その座を他に譲っていること

他バンドの実力も拮抗して来ていることから、今まであと一歩のところで全国に手が届かなかったバンドにも

チャンスが巡ってきていると感じる今年の九州大会でした。

 

全国大会出場を勝ち取ったバンドの皆様は九州代表として素晴らしい演奏を披露してきてくださいませ!

出場された全バンドの皆様、お疲れ様でした!

素晴らしい演奏をありがとうございました!

また、徹底された場内の感染対策に尽力してくださった運営の皆様にも感謝です。

 

 



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